【blog】潜在的な力を引き出し成長を促進するメンタリングの力

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可能性を信じてくれることで湧き上がるパワー

私には「人生のメンター」がいます。元々は上司だったのですが、たくさんの事を教えてもらい、視野を広げ、様々な経験やチャレンジを与えてくれました。そして必ず成長の可能性を信じてくれました。仕事の事だけでなく、考え方、在り方、生き方、そして仕事や成長する楽しさも教えてもらいました。

今はもう一緒に働いていませんが、今でもリーダーとして尊敬し「人生の師」と仰いでいます。3年半の間たくさんの事を教えてもらいましたが、その中でも耳に残っている言葉は「SERIなら大丈夫」でした。大きなチャレンジに自信が持てなくても、失敗を恐れて躊躇しても、成長の可能性に目を向け、私以上に私を信じてくれる存在がいた経験は貴重でした。どんな事であっても、今はできなくても必ずできるようになる。そう思って今仕事ができているのはその体験から来ていると思います。

人生のメンターを持つことはとてもパワフルです!
今回は「メンターを持つこと」について綴りたいと思います。



MENTOR

自分の人生に強く影響を与える人」


1.メンタリングの効果

メンターは「助言者」「指導者」「師」

近年企業でも人材育成を目的としてONE ON ONEやメンタリング制度が取り入れられていますが、メンタリングは1対1の関係で、指導する側をメンター(MENTOR)、指導される側をメンティ(MENTEE)と言います。

メンターはギリシャ時代にオデュッセウス王の助言者やその息子のテレマスコの師を務めた「賢者メントール」の名が語源と言われています。メントールは、オデュッセウス王のかつての僚友で、テレマスコにとって良き指導者良き理解者良き支援者としての役割を果たしたと言われています。

メンターは「人生に強く影響を与える人」です。

メンタリングは、対話を重ねる中でメンティ自身が気づきを得るというコーチングに似たスタイルです。解決方法や回答を教えるティーチング形式のものではなく、どうしたらできるのかメンティが自分自身で解決をし自走化するためのアドバイスや知見を与えリソースを引き出します。

コーチングの関係ではコーチとクライアントが対等な関係であるのに対して、メンタリングは経験豊富なメンターが人生の先輩としてアドバイスも含めメンティの生き方そのものにも影響を与えます。

メンタリングには、メンティの潜在的な力を引き出し成長を促進する効果があります。自信や自己効力感の向上主体性やチャレンジ精神の促進俯瞰力や視野の拡大長期的なキャリアビジョンや人生ビジョンの創造など特にマインド面での成長が期待できます。

組織としても、ポテンシャルのある社員や新入社員の人材育成や、メンターのリーダーシップ開発、社内の信頼の構築という面でもメリットがあります。


2. メンターの心得 - 可能性を信じる土台を持って関わる

メンタリングはとてもパワフルですが、前提として「信頼関係」がないと効果は出ません。同じ言葉を発していたとしても、信頼のある関係と信頼のない関係では浸透率が違います。信頼してない人の言葉は心に響きませんよね。

① 信頼関係を土台にする

人は本能的に相手の本音を察知するそうです。その言葉の裏側に隠れるの意図や背景を直感的に感知します。メンターが本当に心から自分の可能性や成長を願い信じているかは伝わってきます。変なジャッジや損得勘定なく自分の成長の為に、無償の信頼、受容、思いやりをベースにしたアドバイスやフィードバックをもらうと人は必ず成長できます。「信頼」こそ一番大きな影響力です。

②引き出すコーチングの手法を取り入れる

メンタリングにおいてコーチングの手法を取り入れるのはとても有効です。成長を願う気持ちが大きくても指導に重点を置いてしまうと、自分のやり方を押し付けたり、答えを直接与えメンティの主体性や考える機会を奪ってしまうこともあります。メンタリングでは、コーチングのように対話を通してメンティの潜在的な力を引き出すという視点がとても有効です。

③「褒める」「伸ばす」「信じる」で成長を促す

私がメンタリングで何をしてもらったか考えた時に、この3つが浮かびます。実際に「褒める」「伸ばす」「信じる」この3つを繰り返す事で成長を促してもらいました。

  1. 褒める
    もちろん経験が豊富なメンターからしたら至らない所が多いと思いますが、少しでも頑張ったこと、成長したことにも目を向け、それを言葉で伝えてもらえると承認欲求が満たされ、更なるチャレンジに意識を向ける余裕が生まれます。

  2. 伸ばす
    ただ褒めるだけでなく褒めた後には「更に良くするには…」という期待のメッセージや問いを投げかけます。現状満足に留まらず、視野を広げ、視座を高くし、自分の成長の方向性やチャレンジするポイントが明確になります。

  3. 信じる
    そして最後は「大丈夫」だと信じる事です。挑戦して失敗しても後ろで支えてくれるという感覚や安心感があれば、勇気を持ってコンフォートゾーンを超えチャレンジする事ができます。

④可能性を信じる事を忘れない

私はメンタリングで育ててもらったのですが、今振り返って一番大きな要素は「自分以上に自分を信じてくれる存在」であったことでした。一番耳に残っている言葉は「SERIなら大丈夫」という言葉です。

とても鮮明に覚えているエピソードがあります。
私は昔人前で話すのがすごく苦手だったのですが、メンターが会社を辞める際にプロジェクトマネジメント講座を引き継いで欲しいと言われました。私の不安を汲み取り、でもできると信じて、忙しい立場でありながら4時間という長い時間私がファシリテートする講座にただ見守るという立場で同席してくれました。この経験がなかったら、今企業で多くの人の前でセッションしている自分はいなかったと思います。
そして今でも自分の中に「今はできなくても大丈夫。必ずできる。」という形で根付いています。「可能性を信じる」ことは人にパワーを与えます。


3. メンティーの心得 - 素直なオープンな心が吸収力を加速する

① 素直でオープンであること

コーチングのコーチとして様々なクライアントさんに関わっていて感じるのが「素直さ」の働きです。素直であること、自分に対しても他の人に対しても新たなことに対してもオープンであることが、学びの吸収力を加速します。素直さやオープンさを持っているクライアントの皆さんは、スポンジのような吸収力で自分の中に取り込むのがとても上手で、現実でも変化が早く起こります。

コーチングでは、これをコーチャブルと言います。Coachableとは「Coach」=コーチと「Able」=可能なが組み合わさった言葉で「コーチングを受けられる状態である人」を指します。

以前メンターにこんな事を言われました。「俺は皆に同じように接しているし、同じような言葉も掛けている。響く人もいるしスルーする人もいる。その中でそこから吸収し自分の中に取り込むのはSERIの力だ。」

素直であるってお得なことなのかもしれません。固定概念や自分のこだわりに囚われずに「素直なオープンな心」を意識したら、気づきの吸収力は格段にUPします。最近「アンラーン」という言葉が注目を浴びていますが、既に学んだ知識・思考・習慣などを見つめなおし、一旦手放し、新たな学びを取り入れる力です。


Flexibility to adapt, openness to feedback, and the ability to learn
by Kellogg MBA – Entrepreneurial Leader

他者の意見に耳を傾け、フィードバックを受け入れ、新しい知識や知恵を習得する
ケロッグ経営大学院 MBA 起業家リーダーシップに必要な要素の1つ


②フィードバックはギフトだと思う

人は良いフィードバックは喜んで受け入れますが、自分の自我やアイデンティティを守るために厳しいフィードバックは拒否してしまいがちです。でも本来は厳しいフィードバックにこそ、自分が成長できる種が埋まっています。

ターシャ・ユーリックの「insight ―いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力」に、「最善の道を見つけるための手助けとなる最高のツールは自分が相手にどんな影響を与えているのかを理解すること」書いてありました。自分が周りにどんな影響を与えているか理解することは、自己認知でもリーダーシップでも重要な要素です。でも、自分自身でそれに気づくのは至難の技です。

人は誰でも自分のフィルターを通して物事を見ています。固定概念、思い込み、期待や価値基準によって視野が限られています。思考の癖や心理的ホメオスタシスの働きで自分を制限してしまうことも多々あります。それに気づくには誰かのフィードバックがとても頼りになります。特に自分の成長を願ってくれる存在のフィードバックはとても貴重です。

厳しいフィードバックであっても、ありのままに受け止める力を養う事が成長への道に繋がります。おすすめなのはマインドフルネスのスタンスです。自分を否定する事なく、卑下する事なく、フィードバックをありのままに受け止めて、向き合い、未来に活用するマインドを養ってくれます。

独立して自分で働くようになって、一番欲したものがフィードバックでした。フィードバックをもらえる環境はとてもありがたいことだったんだと実感しています。厳しいフィードバックも自分の成長のためのギフトとして受け取りましょう!


MINDFULNESS

今この瞬間に、意識的に、評価せずに、注意を払う

- Jon Kabat-Zinn -


③ベイビーステップでも行動に繋げる

行動に移さないと変化が起きません。コーチングでもセッションとセッションの間の時間が大切にされています。セッションでの気づきを実際に自分で行動に移し、その成功体験・失敗体験から得た気づきを次のステップに繋げます。失敗を恐れ、リスクを恐れて行動に起こさないでいると、現実は何も変化しません。大きなチャレンジでないといけないことはなく、まずは自分が安心を感じるコンフォートゾーンの領域で一歩、一歩でなくてもベイビーステップを踏み出すだけでも前進になります。コンフォートゾーンの先に学びのゾーンがあります。どんな小さなステップであっても行動に移して、メンターにそのチャレンジを報告しましょう!

④感謝の気持ちを忘れない

メンターも人間です。完璧な人間はいません。時には「ん?」と思う事もあるかもしれません。でも、自分の為に時間やエネルギーを費やし尽力してくれるメンターに感謝の心を持って接する事大切ですよね!


4. 複数のメンターを持つ事で自分のリーダーシップを育てる

プロジェクトマネージメントの中にテーラリングという考えがあります。プロジェクトマネジメント概論は「ルール」や「ガイド」であり、それらをプロジェクトの特性に合わせ自分で選択&カスタマイズして最適化する事を『テーラリング』と言います。

尊敬する人もメンターも1人に絞る必要はありません。考えもリーダーシップのスタイルも多様化する現代で、様々なリーダーの様々な尊敬する要素をたくさん自分の中に吸収することでより幅が広がります。

尊敬する人の尊敬するポイントを自分の中にたくさん蓄え、現実社会で直面する課題や状況に対して、テーラリングして試してみる中で自分らしいスタイルやリーダーシップが育まれます。自分自身を深く考察し自分の大切にしている価値観に沿って自分らしさを発揮するリーダーシップのスタイルの事をAUTHENTIC LEADERSHIPと言います。
Authentic Leadershipに関してのブログ →こちら

私は「本」にもメンターになってもらっています。会ったことない著者であっても、その人の生き方や考え方を垣間見る事ができ、インスピレーションを与えてくれます。もちろん今の自分の課題に合わせてアドバイスをくれるわけではありませんが、自分で主体的に本を探し手に取るとアドバイスをくれる本に出会えると思います。本にメンターになってもらうこともおすすめです。


この本を初めて読んだ時、私のメンターが浮かびました。この本はスターバックスの元CEOの岩田さんがハタくんという元部下宛のメッセージとして綴ったもので、とても愛に溢れている心に残る大好きな1冊です。以前企業で働いていた時、マネージャーに昇格した同僚にもギフトで贈りました。メンタリングについて書かれている訳ではないのですが、メンタリングの感覚を感じられます。

スターバックスCEOだった私が社員に贈り続けた31の言葉 岩田松雄 (著)


5. 「自分の可能性を信じるマインド」を養う

信頼できるメンターに出会えるかは運みたいな所もあります。出会えないかもしれません。ただ、メンティの心得である素直なオープンな心は自分自身でいくらでも育む事ができます。誰に対しても、新たなことに対しても、好奇心を持って素直なオープンな心で接していると様々な気づきや学びを得る事ができます。現実で起こる体験を通してでも、本を読む行為によってでも、いくらでも視野を広げ自分の可能性を広げることができます。

自分の可能性を信じるマインドを自分中に育みましょう。


まとめ

私がマインドフルネスに興味を持ったきっかけもメンターとのONE ON ONEの中でした。「EQって知ってる?」とEQ(心の知能指数)について教えてくれた事がきっかけでマインドの世界にはまっていきました。仕事のノウハウやスキルだけでなく、いつも私が成長する為の俯瞰的な考え方や人生のアドバイスをたくさんくれました。「この本読んだことある?」とその時私に必要な学びの本をプレゼントしてくれることも多々ありました。今こんなに本を読むようになったのもメンターの影響です。

シェリル・サンドバーグさんの「LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲」にこんなことが書いてありました。”正しいメンターと出会った時には自ずとわかる。「あなたがメンター」だと。”

メンターは自分からこの人だと宣言する。私もそうだったなと思います!そして、人生でそんなメンターが何人か周りにいたら心強いですよね。

今独立して働いていて、いつも身近で自分の仕事を見てくれる上司のような存在はいませんが、関わるたくさんの方達や友人からたくさんの刺激と多様な視野を頂いています。きっと周りを見渡したら、影響を与えてくれる人はたくさんいると思います。

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